住まいへの想い

私が「住まい」というものに強い想いを抱くようになったのは、幼少期の経験が大きく関係しています。

 

幼稚園の卒園を迎える頃、両親が離婚し、それまで暮らしていた小樽の家を離れることになりました。その後半年ほどの間、親類が住む美幌町の賃貸住宅に身を寄せて暮らしました。親類はとても親切にしてくれましたが、「自分の家ではない」という感覚から、どこか遠慮が生まれ、心から安心して過ごすことはできませんでした。この頃から「欲しいものを欲しいと言えない」自分になっていったように思います。

 

居候生活のあと、しばらくは美幌町の賃貸住宅に暮らし、その後、函館へと移りました。そこでは家賃2万7千円の古いアパートに母と妹と三人で住みました。

お湯の出ない家で、風呂もなく、大家さんが毎月集金に来るという生活でした。当時、母のパート収入は手取りで約11万円。そこから家賃や生活費をまかなう毎日は、子供心にも厳しいものでした。大家さんのことを、なんとなく悪者に感じてしまうこともありました。

 

こうした経験が、土地や建物を「自分のものとして持つこと」、そして「安心できる住まいを手に入れること」への強い願いにつながっています。

そして今、私は「安心して暮らせる家を提供する側」として働いています。

 

住まいが安定しなかった幼少期の影響で、心に歪みや弱さが残った部分もあるかもしれません。それでも私は、自分とおなしような思いを抱える子どもを一人でも減らしたいという想いで、日々の仕事に取り組んでいます。

 

「住まい」は、単なる建物ではなく、心の拠り所です。そんな場所を、一人でも多くの人に届けられるよう、これからも努めてまいります。